12月第290回例会のご案内

開催日 08.gif 平成28年12月3日(土) 開場 08.gif 13:00
会場 08.gif千駄ヶ谷区民会館 開会 08.gif 13:30 終了予定16:30
会場整理費 08.gif 500円

※ 午後時間の開催です。
[box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半)08.gif  牛崎 敏哉(うしざきとしや)氏
 「君は天然色」- 大瀧詠一の〈宮沢賢治〉

 日本の音楽シーン、それはロック、ポップスからアイドル歌謡にいたるまで、多大な影響を残したミュージシャン・大瀧詠一が、2013年12月30日65歳で逝去して3年になろうとしている。
 この間「追悼・大瀧詠一」が様々なメディアで取り上げられており、今年の2月には、アルバム『A LONG VACATION』(1981年)に収録された楽曲「君は天然色」について、<宮沢賢治>とのかかわりが紹介された。長年CMなどで繰り返し流されてきたなじみの曲(作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一)だが、そのいきさつを初めて知り、この曲を聴き直すと、そこにはまったく別の世界が広がることに驚かされた。
 大瀧詠一は、種山が原のそばの岩手県江刺出身で、転校が多かったころから自分のことを「風の又三郎だ」と思っていたということも最近知った。大瀧のほか、鈴木茂、細野晴臣、松本隆らをメンバーとした、今や伝説のロックグループと呼ばれる「はっぴいえんど」の楽曲などを通して、<宮沢賢治>との関わりを紹介していきたい。
 (会員。宮沢賢治記念館副館長・学芸員)

(後半)08.gif  鈴木 健司(すずきけんじ)氏
 橋本利平氏から伺ったこと

  花巻市上町出身の橋本利平氏は(1922年生まれ、現在94才、横浜市在住)、大津屋と呼ばれる橋本呉服店の出で、賢治の母方の宮沢家(宮善・鍛冶町)とは家も近く(賢治の家・宮政・豊沢町とも近い)、親戚関係にあった。宮善の出である宮沢賢治の母イチは、橋本氏の母ミツといとこ関係にあり、したがって利平氏と賢治はまたいとこの関係ということになる。利平氏の母ミツは、賢治の一つ年下で、幼いころよく賢治と一緒に遊んだそうである。また、利平氏の母の兄・橋本英之助は、賢治の一つ年上(学年としては二年違い)で、やはり幼いころからよく遊んだ間柄だという。盛岡中学では英之助が一学年上で、同じ寮で暮らしていたことは年譜的にもよく知られた事実である。
 今回、橋本利平氏より、幼いころ賢治が自分の家に来たことの思い出や、母から聞いた賢治の思い出を伺うことができたので、紹介したい。合わせて、そのエピソード((1)「花壇づくり」(2)「巌窟王」(3)「志度平温泉」)から窺い知ることのできる賢治の姿や人間関係、さらにはその当時の財閥というものの一側面を考察してみたい。
(会員。文教大学文学部教授)[/box]

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11月短歌読書会

7月読書会の記事を投稿しました。今回は、会場がいつもの千駄ヶ谷区民会館と異なりますので、ご注意ください。(6月16日)

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10月第289回例会のご案内

開催日 08.gif 平成28年10月1日(土) 開場 08.gif 13:00
会場 08.gif千駄ヶ谷区民会館 開会 08.gif 13:30 終了予定16:30
会場整理費 08.gif 500円

※ 今回から午後時間の開催です。
[box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半)08.gif  佐藤 栄二(さとうえいじ)氏
 童話「いてふの実」を読み味わう

 賢治の初期童話の中で最も惹かれる一篇「いてふの実」を取り上げる。その語り口から賢治の肉声が聞きとれるような親しみやすさ、銀杏の実たちが二人ずつペアになって交わす対話形式の斬新さ、夜が白んでから次第に明けがたになり、太陽が昇るまでの描写に清冽な筆の冴えを見せる点など、数々の魅力がある。
 アンデルセンの『絵のない絵本』をドイツ語で読んで数首の短歌にしてもいた彼が、大正期の児童文学の潮流を目のあたりにしながら書き上げた作品の一つであり、アンデルセン、グリム、トルストイといった童話ないし寓話の世界との接点にも目を向けてみたい。
 (当会顧問。現代俳句協会理事)

(後半)08.gif  水野 達朗(みずのたつろう)氏
 〈第二集・第三集〉を今どう読むか

 「春と修羅」の〈第二集〉と〈第三集〉に関してはかつて、農村への関心の深まりを示すもの(第二集)、農村での実践とその挫折を描いたもの(第三集)といった位置づけがなされていた。が、校本全集以降のテクスト研究により、それら農村に関する詩句は、長期にわたる推敲過程の後の方で加えられたものであることが解明され、〈第二集〉と〈第三集〉の性格や、詩風の変遷をかつてと同じ形で論じることはできなくなっている。
 可能なのは、推敲過程を辿る形で変遷を論じる道であり、実際、個別の詩篇(群)単位ではそうした論が書かれてきた。ただ、それぞれの手入れの時期を画定するのも容易でない上に、詩集全体を見渡す論となると、そもそもいついかなる形で「集」が形成され(変更され解体され)たのかという「詩集編成」過程の復元が難しい。が、その困難に取り組んだ諸論考を参考にしながら、〈第二集・第三集〉推敲過程における詩風の変遷を、包括的に論じるべき局面もあると思われる。
 このことを念頭に本発表では、〈第二集・第三集〉校異の中から、様式や詩世界に同じような変容が生じたと思われる箇所をいくつか取り出して並べ、その様相を考察したい。
(会員。拓殖大学・京都造形芸術大学非常勤講師)[/box]

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9月短歌読書会

7月読書会の記事を投稿しました。今回は、会場がいつもの千駄ヶ谷区民会館と異なりますので、ご注意ください。(6月16日)

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8月第288回例会のご案内

開催日 08.gif 平成28年8月6日(土) 開場 08.gif 17:30
会場 08.gif千駄ヶ谷区民会館 開会 08.gif 18:00 終了予定21:00
会場整理費 08.gif 500円

※ 夜時間の開催です。
[box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半)08.gif  牧野  静(まきのしずか)氏
 賢治童話における殺生の問題

 賢治はその創作において繰り返し殺生を行う主体を登場させ、その苦悩を描いている。また賢治自身一時期には菜食を行ったことが広く知られている。このような賢治の価値観のおおもとに大乗仏教的な発想があることは既に諸家に指摘されている。
 しかし賢治の殺生へのこだわりは仏教的発想だけでは説明がつかない部分がある。宮沢家は浄土真宗の篤信であり、賢治の仏教的素地はこの環境で育まれている。しかし真宗の祖親鸞は殺生を生業とする者も阿弥陀仏の本願によって往生を遂げるという立場を取る。またのちに法華経への感動から国柱会入会へと至る賢治であるが、法華経の安楽行品に狩猟者等との交流を戒める箇所もあるものの、日蓮は殺生を行うことを往生の妨げとならないとしている。賢治の殺生への問題意識は仏教的発想以外にもなんらかの端緒があると解するべきであろう。
 本発表ではまず賢治が触れた可能性のある経典等と賢治のテキストとの比較を行うことで、賢治が殺生にまつわる創作を行う際の着想のもとを探る。次に賢治のテキスト内で動物がどのように位置づけられているかを分析した上で、現代の応用倫理学のなかで一分野をなす動物倫理の議論との比較を行い、賢治の殺生にまつわる価値観、倫理観を探る。
 (筑波大学大学院人文社会科学研究科 一貫制博士課程。会員)

(後半)08.gif  外山  正(とやまただし)氏
 宮沢賢治と方言の現在(続)

 筆者は以前、例会で賢治の方言について発表したことがある(平成19年6月第234回例会「劇『種山ヶ原の夜』と花巻方言の現在」)。九年前のことであるからもうひと昔前だ。これだけの時間の経過は、社会や身辺の様相を一変させるに十分な時間である。物事へのまなざしや理解も十年を経ればかなりの違いを生じさせる。十年かかる学習もずいぶん気の長い話であるが、新しい考えや知識に至ることはある。
 社会でもっとも変化したのは情報化であり、その情報化を根拠にあらゆる事件が起こる。方言の問題を情報化でくくってもどこの違いを指摘出来るかは案外難しい作業だ。実は、今回の演題を考えた後に、以前の発表を確認したら、同じ様な演題だったので少々思案したが。あえてそのままにしておく。約十年後の定点観測である。
 今回は「なめとこ山の熊」の荒物屋の場面「旦那さん、先ころはどうもありがたうごあんした。」で始まる部分にスポットを当てて考えをめぐらせ、そこからさらに展開することをしたい。
(会員。例会担当役員)
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