例会

12月332回例会のご案内

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※ 前半がリモートと会場対面、後半が会場対面の予定です。会場は渋谷区勤労福祉
会館です

前半 演題と発表者 インタビューと座談会 「当世賢治書店主気質」 兵庫西宮「ポラン堂古書店」森本智子(もりもと・ともこ)氏、岩手大迫「賢治文庫」塩野夕子(しおの・ゆうこ)氏、司会村上英一
 以前ならば、町に散在した大小の書店の一つずつ無くなって行く原因は、書物が担ってきた文化の態様の変化にあるとして、それらの現実は文字・文書による情報収集の形式の変化や、ネット販売による流通の変化、あるいは読書や文学に言われる「衰退」なども関係するのでしょう。そもそもを考えれば価値観の変化、そして根本は経済の衰退が原因として大きいと考えます。
 そう言う状況の中で、旧来の書店の形式をとりながら書籍における販売や閲覧、扱う書物の選定のスタイルに、新機軸を採用した書店の報道も目にします。今回は、その中で「宮沢賢治」をメインに据えた試みを展開されている例をご紹介します。
 岩手大迫「賢治文庫」は図書館でもなく、書店でもありません。兵庫西宮の「ポラン堂古書店」も単純な古書店として括れません。普通に考えると、それぞれの運営は簡単ではなさそうですが、各々の趣旨、業態はもとより、あえてその様な環境に身を投じた勝算、目算などのお話を伺って、これらが出現した必然性などに迫ることが出来ればと思いました。最前線のイノベーターとも呼ぶべきお二人をお呼びして、Zoomで繋ぎ、お話を伺う機会を用意しました。
(構成:宮沢賢治研究会)
※リモート+司会者は会場における対面

後半 演題と発表者 演題 『子供の力』の基礎的研究と「月夜のでんしんばしら」論 牧 千夏(まき・ちなつ)氏
 本発表では、最近花巻で発見された『子供の力』という雑誌について、基礎的な事項を明らかにするとともに、この雑誌に再掲載された「月夜のでんしんばしら」を考察する。『子供の力』の記事の執筆者および掲載された綴方の執筆者の調査から、この雑誌は稗貫・和賀郡を中心とした民間の教育雑誌であることが分かった。教育方針は新教育的だといえる。編集発行人および『子供の力』に賛同した小学校校長が、基本的に児童の個性を尊重する教育論を書いていたからである。さらにこの雑誌が1928年に創刊していることから、北方教育運動との関係についても調査した。北方教育は、秋田で生まれた教育運動であり、綴方教育を中心とした実践である。岩手にもその実践者がいた。『子供の力』は、綴方教育に力点があることにおいて、北方教育に一脈つながるが、対象児童や教育方針については異なっていた。以上の『子供の力』の基礎的な調査を踏まえて、それに再掲載された『月夜のでんしんばしら』を解釈する。「月夜のでんしんばしら』のひとつのテーマである「きりつ」の分析を行う。
(奈良教育大学)
※会場における対面による発表+リモート配信。
 

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10月331回例会のご案内

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 口 上
 今回の試みは、人により条件が異なるので、必ずしも「普遍的」とは言いがたい部分があります。そこらを注意しながら、話題をすすめることは必要でしょう。
 さて、かなりの昔、バスを仕立てて足繁くイーハトーブに通った時期がありました。考えて見ると、その時から50年=半世紀の月日が経過しています。折しも花巻では『春と修羅』『注文の多い料理店』出版から百年と言う展示会を開催しています。と言うことは、現在から勘定してちょうど半分くらいの時期だったことになります。
 半世紀も経過すると、世の一般の考えもかなり様相を変えます。個人的には青春の若い時期に賢治と関わり、それをそのまま続けることが出来ました。昨今は、賢治やそもそもの文学自体の凋落傾向も言われますが、それをそのまま素直に信じるのも少々抗いたい気持ちです。それならば、そもそものあの青春のイーハトーブと言うものはどう言うものだったのだろうと考えました。長い間賢治に関わり続けて来られた理由の一つに、このイーハトーブ修学旅行の存在があった様にも思います。
 末尾に資料として整理しましたが、その70年代後半の「イーハトーブ修学旅行」を回顧することをおこない。現在から見て一体どのような位置づけが出来るのかを考えてみようと思いました。10月5日(土)開催の例会として構成します。前半を回顧、後半を解題としますが実際は、それほど厳密にはしないつもりです。
 これらの、元情報とするため当時の旅行参加者の皆様に、アンケートをお願いして、参考にしながら少々長すぎる半世紀を振り返ることが出来ればと思っています。これを例会の前半でおこないたいと存じます。

 後半では、数名の関係者にご参列賜り、「旅行」を受容史等の観点から、洗いなおし、世代の交代や国際化を含めた賢治関係活動の活力につなげるアイデアを探りたいと考えました。複数のご意見を賜ることが出来れば、あるいは方向性も見えてくればと期待します。もとより、感覚的には個人の経験なので、人により、あるいは前後十年ほどの時代的な差により条件も異なるでしょう。それらをも含んだ上で「大回顧」が出来ればと思うのです。
 リモートでつないだお話になる予定です。乞うご期待。
8月3日(土)通常の例会の枠で開催します。(構成:宮沢賢治研究会・7月15日記)

WordPress Data Table ※ 会場は渋谷区勤労福祉会館です
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8月330回例会のご案内

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 口 上
 こと、賢治に限らず優れた思想や精神活動が世界レベルに至るには、そもそも本質が受け入れられることが基本です。その橋渡しをするのは国や民族を超える「言語の跳躍力」であり、その能力を持った人材は、留学生などの形で現れます。ただ幾分不思議なのは、多くの文学作品がありながら、賢治に導かれる理由があることです。そう言う意味では自分も導かれた一人であることに気づくのですが、それでは、その理由を良く理解しているかと自問すれば、必ずしもそうでもありません。
 言語のハードルの他に時間のハードルもあるでしょう。国民的作家として勢いがあったとしても生誕百年以降その勢いを維持しているとも言えません。古典化して時代を超えて受け入れられる存在になるには、上記本質のまた別の面の強靱さも求められます。対応する発掘作業も必要でしょう。
 半世紀前のイーハトーブは、国内の各地から目指す「別世界」でしたが、現在は、交通手段の進化に伴い「日常」に吸収されました。その、遠近の関係性は失われてしまったのだろうかと考えた先に、あらためて海外との関係に関心が向かいました。
 賢治の翻訳や、決して少なくない数の留学生。我々はしばらくの時間、この辺りにもっと目を向けるべきではなかったのかと反省するところです。例会ではここらの実態、あるいは留学生のその後について、あらためることをし、それぞれの位置関係を確認します。
 リモートでつないだお話になる予定です。乞うご期待。
8月3日(土)通常の例会の枠で開催します。(構成:宮沢賢治研究会・7月15日記)

※ 今回はインタビュー、座談会、そしてアトラクションの構成になります。登壇者三名は国内在住、お一人はイランで、いずれもリモート参加です。司会は会場でおこないます。会場は渋谷区氷川区民会館です

会員からの質問コーナー
 会員の皆様からも、ご質問を受けたいと思います。事前に登壇者四人分のアンケートを送付します。アンケートに関連しても、しなくても良いので、ご質問のある方は会のお問い合わせフォームに「質問」と書いて、お一人一問のみ、簡潔におまとめの上送信して下さい。締め切りを7月28日(日)とします。なお、お預かりした質問は、司会者で整理した上で、登壇者とやりとりします。すべての質問に回答は出来ない場合もあると思いますので、あしからずご了承ください。

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6月329回例会のご案内

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※ 発表者二人とも、会場での対面方式の発表になります。リモート配信もあります。会場は渋谷区氷川区民会館です

前半 演題と発表者 演題 作品研究「茨海小学校」―宮沢賢治先生と狐の学校― 山崎善男(やまざき・よしお)氏
 前回の研究発表は2012年12月に、『「月夜のけだもの」から賢治の動物童話の特徴を探る』というタイトルで発表しました。内容のひとつは、賢治の童話に登場する動物の2足歩行についての話でした。例として色々な童話を取り上げましたが、失念していた作品が、「茨海小学校」でした。なぜこの作品を忘れてしまったのか、確かに記憶力が良い方ではないのですが、作者の側にも読者の記憶に強く残せないような足りないところがある作品ではないか、という思いもあります。その理由のひとつは、難解な用語や表現が使われていることだと思います。多くの方の読後感は「なんだかわからない」となってしまいます。今回の発表では、難解な語の説明、読んでいて気になるところを、賢治の教師時代のエピソードを交えながらお話しする予定です。ちょっとしたアトラクションも用意しますので、対面でのご参加が可能でしたら会場でご覧頂きたく思います。
(研究会前事務局長)
※会場における対面方式の発表です。

 総 会(事務局・30分程度)

後半 演題と発表者 演題 「銀河鉄道の模型」 外山 正(とやま・ただし)氏
 どなたもご存じの「銀河鉄道の夜」。その作品冒頭に繰り広げられる、アルコールランプ熱源蒸気機関の鉄道模型の話題があります。これについて、いままでずっと深く考えることをしてきませんでした。表現がかなり具体的であるにも関わらず、とりあえずはプロローグ用に用意された「お話」としてのエピソードくらいに思っていました。ところが(経緯を説明すると長くなるので、例会会場で示すとして)結論としては、どうも原作で説明されるとおりの「実物」があったらしいと言うことになります。そこらの具体的な資料を示して話題としてまとめる所存です。先行研究の有無もあまりはっきりしません。今のところ確認できていません。「山猫通信」でも、中途半端に取り上げたのですが、どうも印象が薄いらしく、例会発表としてまとめるべきだとのご意見をちょうだいしました。したがって、内容としてはあまり複雑でなく、三十分程度の紹介とするつもりです
(研究会参与)
※会場における対面方式の発表です。
 

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4月328回例会のご案内

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※ 発表者お二人とも、会場での対面方式の発表になります。リモート配信もあります。会場はいつもとは変わっての渋谷区勤労福祉会館です
。過去に時々使用しています。お間違えの無い様に。

前半 演題と発表者 演題 宮沢賢治と村上鬼城の句 杉浦 静(すぎうら・しずか)氏
 『新校本宮澤賢治全集』の第14巻の「〔毛筆筆写等〕」には、奉書紙に毛筆・ブルーブラックインクで書かれた鬼城句2句が、「〔毛筆筆写等 四〕」として収録されている。この奉書紙の表には、同じく毛筆・ブルーブラックインクで賢治句(疑問あるものがある)が2句書かれている。賢治句の内1句は、「花はみな四方に贈りて菊日和」。この句が作られたのは、昭和7年秋の秋香会への短冊揮毫依頼の際と推定される。従って、奉書紙をはじめとする、文語詩稿に重ね書きされた俳句の習字も、この時のものであると思われる。
 この俳句の習字のうち、かねて賢治句と言われていた「自炊子の烈火にかけし目刺かな」「目刺焼く宿りや雨の花冷に」「風の湖乗り切れば落角の浜」「鳥の眼にあやしきものや落し角」はそれぞれ鬼灯・彩歩・摘星辰・十八公の作で、今井柏浦編『最近新二万句集』からの抜き書きであることが明らかになっている。
 最晩年には、さらに1句村上鬼城の句を抜き書きして、「改変模写」(菅原鬨也)までしている。この晩年の賢治の鬼城への親炙について考えて見たい。
(大妻女子大名誉教授)
※会場における対面方式の発表です。

 
後半 演題と発表者 演題 宮沢賢治におけるジャズの諸相 坪谷 卓浩(つぼや・たかひろ)氏
 本発表は、宮沢賢治のテクストに表象される「ジャズ」について、賢治の生きた同時代の日本におけるジャズの受容の展開を確認したうえで、「春と修羅 第二集」に所収されている詩「岩手軽便鉄道 七月(ジャズ)」ならびに童話「セロ弾きのゴーシュ」を取り上げて、賢治テクストに表象されるジャズの諸相について検証する。同時代のジャズに関する言説を確認すると、新興国アメリカの音楽であるジャズは、西洋のクラシック音楽と比較すると、〈野蛮〉である側面が指摘されていた。同時に、これまでのクラシック音楽にはない「スピード」や雑多な音が響く「騒音」的側面、すなわち〈モダン〉の諸相があることも注目されていた。こうした〈野蛮〉でありながら〈モダン〉であるという両面性は、東北の土着性を秘めながら、西洋的な世界観を彷彿とさせるイーハトーブ世界、すなわち賢治の諸作品と通底する世界観であり得る。宮沢賢治と音楽といえば、従来、西洋のクラシック音楽との関わりを中心に論じられてきたが、賢治テクストにおける「ジャズ」の諸相の検討を通して、クラシック音楽の範疇からはみ出してしまう賢治テクストにおける音楽的な側面の多様性を示したい。
(日本体育大学職員、日本大学非常勤講師)
※会場における対面方式の発表です。
 

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