6月324回例会のご案内

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※ 午後時間の開催です。
※ 会場での発表と、リモートでの発表になります。なお6月は総会(30分程度を予定)があります。
氷川区民会館を確保しています。

前半 演題と発表者 「グスコーブドリの伝記」における技師の労働観-ブドリの描写に着目して 加畑翔貴(かばた・しょうき)氏
 童話「グスコーブドリの伝記」は、1932年3月に佐藤一英の編集による「児童文学」第2冊(文教書院)に掲載された作品で、宮沢賢治の生涯最後の発表作品として知られている。この作品における冷害の描写は、当時の岩手県における冷害の状況を反映したものだという見解が一般的である。加えて、この童話が掲載される前年に、賢治は東北砕石工場で石灰肥料の設計・販売を行う技師として再起を図っていた。主人公のブドリが科学的な知見を活用して人々の生活を向上させようと奮闘する姿は、賢治自身の理想の生き方を描いていると多くの先行研究で指摘されている。しかし、本作品に賢治の自伝的要素を見出す論点には首肯できるものの、ブドリと賢治に共通する「技師」という職業に焦点を当てた研究は少ない。本発表では、賢治の他作品や農学・農会関係者の言説などをコンテクストとして踏まえながら、技師・ブドリの描写の意図を分析することで、賢治が農業技師としての自身の労働に対してどのような問題意識や理想像を抱いていたのか考察を行う。(本発表は、2022年12月に筑波大学大学院に提出した修士論文の一部を元にしている。)
(筑波大学大学院博士後期課程1年)※会場における対面方式での発表です。

 
後半 演題と発表者 「天沢退二郎さん追悼と『評釈 宮沢賢治短歌百選』から」 平澤信一(ひらさわ・しんいち)氏
 本年1月25日、詩人で宮沢賢治研究者の天沢退二郎氏が亡くなられた。1960年代の『凶区』に連載された『宮沢賢治の彼方へ』を起点として、『校本宮沢賢治全集』『新校本宮沢賢治全集』編纂へと進んで行った天沢氏の軌跡を、個人的な思い出を交えながら『現代詩手帖』4月号の追悼特集を読むことで振り返りたい。詩集からも宮沢賢治に関わる作品「アリス・アマテラス」を読みたい。
 また、歌稿B54「凍りたるはがねのそらの傷口にとられじとなくよるのからすらなり」を、前後の歌とともに、谷川雁、大西久美子、板谷栄城などの論を参照しつつ、『銀河鉄道の夜』や『烏の北斗七星』と関連付けながら読み解く。「空」を見て、特異な「心象」を体験していた賢治が、その向うに「異空間」を見出し、萩原朔太郎『月に吠える』との出会いを経て、『春と修羅』表題作冒頭の「心象のはいいろはがね」に至る過程を辿ってみたい。
 (明星大学教育学部教授)※リモート方式による発表です。

■web例会のお申し込みについて/コロナ下における例会開催についての説明

ご案内「ホームページの障害発生に伴う対応など」(重要)
 2022年1月に、本ホームページに障害が発生した件について説明をしています。(補足説明・修正状況)

Posted by 外山正

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