開催日 令和2年10月3日(土) | 開場 13:00 |
会場 渋谷区勤労福祉会館 | 開会 13:30 終了予定16:45 |
会場整理費 500円 |
※ 午後時間の開催です。10月は本来夜の時間帯で開催していますが、今回は午後の時間帯の開催です。
※ 新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあることなどを踏まえ、10月例会は、開催することとしました。例会会場では、手指消毒剤の用意、換気、個人間の離隔距離の確保など、感染防止対策を行います。参加される方は、来館前の検温・体調の確認、マスクの着用、手指の消毒等にご協力をお願いいたします。 [box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半) 外山 正(とやまただし)氏
高校生の私に会いに行く
―イーハトーブタイムカプセル―
「距離」と言う概念では、その大小であるところの「遠い」「近い」の感覚は、一つには実際にかかる「移動時間」で判断されるのだろうと思う。徒歩から始まり、交通機関を利用する場合の違いもある。移動において「風景」が「心持ち」をリフレッシュしてくれる効能がある。それを特化した行動には、たとえば「旅行」がある。筆者は、昭和47年(1972年)の春、高校二年から三年になる春休みに、初めてイーハトーブに足を踏み入れた。その時の写真は(自分で言うのも変であるが)長く不明になっていたのだが最近思わぬところからカビの生えたネガとして出現した。
と言うことは、移動の概念に加えて、48年≓約半世紀という時間の経過が要素に加わったことになる。これをどの様に「解釈」できるか。多分に私的な内容なので、一般向けの価値として?(はてな)が付くところであるが、半世紀の風雨はその余計な部分を洗い落とし、本質を見せてくれるのではないかと思っている。すくなくとも二つくらいは面白い話題を提供出来ると思う。画像のカビはひととおり除去した。
(参与)
[note color=”ffdead”]プロジェクター使用=有り(型番) スピーカー使用=無し [/note]
総 会
(後半) 鈴木 健司(すずきけんじ)氏
「難破船」はどこからどこへ航海していたのか
―「パシフィックの謎」を考える―
「銀河鉄道の夜」の一場面、ジョバンニの「(あヽ、その大きな海はパシフィックといふのではなかったらうか。-略-)」には、なぜアトランティックでなくパシフィックと記されたのかという謎がある。その謎に関し、今福龍太氏の『宮沢賢治デクノボーの叡知』(2019)には、三つの解釈の可能性が提示されている。今回の発表はそれらを吟味することから始め、四つ目の解釈を提示したいと考える。それは、キリスト教的表象の底に沈められている仏教の問題、さらには、第三の宗教の問題を考えることで見えてくる解釈である。「銀河鉄道の夜」というテクストには、誤読を誘発させる仕掛けがあるように思う。読者の中で難破船の航路と銀河鉄道の路線が重なっていき、両義性をもつように作られているのではないか。「難破船」はテクストの両義性のなかで、アメリカとともに日本にも向かっているという読みを展開したい。
(文教大学文学部教授・会員)[/box]