開催日 平成29年10月7日(土) | 開場 13:00 |
会場 千駄ヶ谷区民会館 | 開会 13:30 終了予定16:30 |
会場整理費 500円 |
※ 10月から開催時間帯が午後時間に変更になります、午後時間の開催です。お間違いの無い様にご注意下さい。
[box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半) 松岡 康子(まつおかやすこ)氏
「野の師父」と湯口の篤農家 松岡機蔵
今回発表の機会をいただき、例会記録をあらためて見直し、とりあげようとしている土佐啓一氏の「野の師父考」が、昭和40年12月、例会の第1回目の発表であったことに直前になって気づいた。前回までの例会の発表タイトルも目を通したが「野の師父」の文字が見あたらず、約50年ぶりのテーマとなるかもと思うと緊張で眠れない日々を過ごしている。
自分の先祖のことが書かれた氏の論文があると知り、当時の発表資料を求めて本研究会を訪れたのは約2年前。その資料にはまだお目にかかっていないが、ほぼ同じ内容にあたるであろう論文「賢治の農事詩とその背景」に、この春たどり着くことができた。
本発表では、前述の土佐氏の論文と、「四次元」194号に掲載された小沢俊郎氏の「『野の師父』と異稿」を読み直し、武士から帰農し篤農家とまで認められるようになった松岡機蔵が、はたして野の師父のモデルとなる人物であったかという点にせまりたい。機蔵の農業や教育への取り組みが、宮沢賢治作品に影響を与えた可能性について、身内だからこそ知り得たこともあると考え、僅かでも誰かの役に立つことがあればと願っている。
(会員)
(後半) 相原 勝(あいはらまさる)氏
宮沢賢治「どんぐりと山猫」― 国柱会と法華経
多くの人にもっとも親しまれている賢治童話のひとつ、「どんぐりと山猫」。ユーモアと遊戯性と明るさに満ちあふれた、実に楽しい作品である。そして、当然のことながら、これまで、多くの解釈もなされている。しかし、それらの解釈を参考にしながら、このお話を、なんとか整合性をもって理解しようとしても、残念ながら、ますますわけがわからないものになってゆくばかりである。
そこで今回、これまでほとんどなされていないのであるが、この作品の成立時期とともに、その頃の作者の童話創作の思いに即してこの作品を解釈してみようと考えたのである。「成立時期」との関係で読むとは、狂信的ともいえる国柱会(田中智学=日蓮主義)への賢治の帰依とのかかわりと、法華経(とくに如来寿量品)帰依による「法華文学」創作の思いから読んでみようということである。そして、このことを通して、この童話が、童話集『注文の多い料理店』の巻頭に置かれた理由や、「ドリームランドとしての日本岩手県」の意味や、「心象スケッチとしての童話」ということもまた、とらえ直してみようとかんがえたのである。
(会員、ドイツ文学研究者)[/box]