開催日 平成29年4月1日(土) | 開場 17:30 |
会場 千駄ヶ谷区民会館 | 開会 18:00 終了予定21:00 |
会場整理費 500円 |
※ 今回から夜時間の開催です。
[box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半) 構 大樹(かまえだいき)氏
賢治童話に描かれた〈近代〉を生きる狐たち
賢治童話には「狐」がよく登場する。登場人物として活躍するテクストには「貝の火」「とっこべとら子」「土神ときつね」「茨海小学校」「黒ぶだう」「雪渡り」などが挙げられる。このことは既に指摘されてきた事柄であり、はやくは小沢俊郎氏が「狐考」(『四次元』1952.6)において、「狐」が登場する童話の特徴を4つのタイプに分類した。また小松和彦氏は「異界の生き物たち」(『宮澤賢治イーハトヴ学事典』所収)のなかで、賢治は「狐にほほえましさや愛情を見出していた」と評している。
ところで、賢治童話に出てくる動物たちのなかで「狐」が特異であると思われる点は、〈知〉の獲得・転用に意欲的であり、また〈教育〉を受けるという描写が看取されることだ。こうした描写は、何をあらわしているのであろうか。賢治童話の「狐」たちには、どのような意味が付与されているのか。本発表では「土神ときつね」「茨海小学校」「雪渡り」を中心に、「狐」という動物を通じて何が描かれているのかを読みひらいてみたい。
(会員)
※ 年度当初のため、総会(時間にして概ね30分の予定)が入ります。
(後半) 舘野 廣幸(たてのひろゆき)氏
田中正造と宮沢賢治の共通項を探る
田中正造は栃木県に生まれ、足尾銅山鉱毒事件の解決のために闘った明治の政治家・活動家である。田中正造と宮沢賢治の直接的な接点はない。しかし、調べてみると地理的にも人物的にも事物的にも思想的にも共通するものが多い。特に盛岡は、田中正造の生き方を方向付ける重要な場所であったし、宮沢賢治の青春の舞台でもあった。田中正造や足尾銅山と宮沢賢治の共通項から童話「どんぐりと山猫」や演劇脚本「植物医師」などに描かれた場面の背景を探ってみた。田中正造も宮沢賢治も、近代化する時代の中で地域に生きる人々や自然と向き合い、平和で自立した幸福な「有機交流」の世界を求めて、苦悩しながら時代を駆け抜けた人であったと思う。
(農民、埼玉大学非常勤講師、会員)
※プロジェクターの使用有り。 [/box]