開催日 平成28年10月1日(土) | 開場 13:00 |
会場 千駄ヶ谷区民会館 | 開会 13:30 終了予定16:30 |
会場整理費 500円 |
※ 今回から午後時間の開催です。
[box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半) 佐藤 栄二(さとうえいじ)氏
童話「いてふの実」を読み味わう
賢治の初期童話の中で最も惹かれる一篇「いてふの実」を取り上げる。その語り口から賢治の肉声が聞きとれるような親しみやすさ、銀杏の実たちが二人ずつペアになって交わす対話形式の斬新さ、夜が白んでから次第に明けがたになり、太陽が昇るまでの描写に清冽な筆の冴えを見せる点など、数々の魅力がある。
アンデルセンの『絵のない絵本』をドイツ語で読んで数首の短歌にしてもいた彼が、大正期の児童文学の潮流を目のあたりにしながら書き上げた作品の一つであり、アンデルセン、グリム、トルストイといった童話ないし寓話の世界との接点にも目を向けてみたい。
(当会顧問。現代俳句協会理事)
(後半) 水野 達朗(みずのたつろう)氏
〈第二集・第三集〉を今どう読むか
「春と修羅」の〈第二集〉と〈第三集〉に関してはかつて、農村への関心の深まりを示すもの(第二集)、農村での実践とその挫折を描いたもの(第三集)といった位置づけがなされていた。が、校本全集以降のテクスト研究により、それら農村に関する詩句は、長期にわたる推敲過程の後の方で加えられたものであることが解明され、〈第二集〉と〈第三集〉の性格や、詩風の変遷をかつてと同じ形で論じることはできなくなっている。
可能なのは、推敲過程を辿る形で変遷を論じる道であり、実際、個別の詩篇(群)単位ではそうした論が書かれてきた。ただ、それぞれの手入れの時期を画定するのも容易でない上に、詩集全体を見渡す論となると、そもそもいついかなる形で「集」が形成され(変更され解体され)たのかという「詩集編成」過程の復元が難しい。が、その困難に取り組んだ諸論考を参考にしながら、〈第二集・第三集〉推敲過程における詩風の変遷を、包括的に論じるべき局面もあると思われる。
このことを念頭に本発表では、〈第二集・第三集〉校異の中から、様式や詩世界に同じような変容が生じたと思われる箇所をいくつか取り出して並べ、その様相を考察したい。
(会員。拓殖大学・京都造形芸術大学非常勤講師)[/box]
懇親会の後水野さんとカラオケに行く予定です。スタートは20時頃からとなります。ここをご覧いただいた方はふるってご参加ください。