開催日 平成27年10月3日(土) | 開場 13:00 |
会場 穏田区民会館 | 開会 13:30 終了予定16:30 |
会場整理費 500円 |
※ 午後時間の開催です。
[box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半) 小野 浩(おのひろし)氏
草野心平と宮沢賢治
「賢治発見、賢治紹介の先駆け」であった草野心平。イーハトーブセンターでは2001年6月~12月に企画展「賢治研究の先駆者たち(1)草野心平展」が開催されました。その前々年(1999)7月にいわき市立草野心平記念文学館にて開催した宮沢賢治展(賢治と心平)を担当しました。展示構成は「賢治がいた場所」「賢治にふれる」「賢治と心平の交流」「賢治と心平が響き合う」。展示監修は入沢康夫氏にご指導頂きました。
本発表では「賢治と心平の交流」を中心に、その後の資料を追加し「賢治作品の初期の読者、共感者、研究者、評論家、発信者」としての心平について紹介します。
賢治の『春と修羅』が、心平の旧制中学校の後輩により心平留学先の中国嶺南大学に届くのが大正13年(1924)8月、ここから始まる二人の交流。同人誌「銅鑼」への同人勧誘、賢治没後の「宮沢賢治追悼」、『宮沢賢治全集(文圃堂)』の編集刊行。同人誌「歴程」では賢治を物故同人に、以後賢治全集の編集、研究の中心人物まで。
(いわき市暮らしの伝承郷館長)
(後半) 大沢 正善(おおさわまさよし)氏
「宮沢賢治とアレニウス」
宮沢賢治の宇宙観を知るためにはアレニウスからの影響を考えないわけにはいかない。アレニウスはスウェーデンの物理学者、天文学者であり、大正期に『宇宙発展論』『宇宙創成史』『最近の宇宙観』が訳出されていた。賢治は「一九 晴天恣意」に「白くまばゆい光と熱、/電、磁、その他の勢力は/アレニウスをば俟たずして/たれか火輪をうたがはん」と記したにとどまるが、影響は「銀河鉄道の夜」などにすでに何点か指摘されている。三著をたんねんにたどって影響のありようを考察したい。
まず、「銀河鉄道の夜」中の「牛乳」や「穴」や「エネルギー」との符合、「ポランの広場」中の「Xといふ字の形」の天の川と二星流説の類縁、地球の火山活動や大気現象への関心という共通点などを指摘したい。その上で、当時のデータと理論を動員しながら宇宙と地球を統合的に理解してゆくアレニウスの積極的なヴィジョンと、「銀河鉄道の夜」第三次稿に登場する「ブルカニロ博士」のヴィジョンの類縁を提示したい。科学的素養のない者の蛮勇ゆえ、ご批正願いたい。
(岐阜聖徳学園大学教授)[/box]