開催日 平成29年6月3日(土) | 開場 17:30 |
会場 千駄ヶ谷区民会館 | 開会 18:00 終了予定21:00 |
会場整理費 500円 |
※ 夜時間の開催です。
[box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半) 宮澤 明裕(みやざわあきひろ)氏
宮沢賢治記念館について
宮沢賢治記念館は昭和57年に賢治の命日である9月21日に開館しました。そこから30年以上が経過し、展示施設の老朽化への対応と、現在まで積み上げられてきた研究成果の反映を行わなければならないことから、平成26年12月から約5カ月間を休館とし、監修者の皆様の指導のもと、開館後初となる展示室の全面改修が行われました。
平成27年4月25日、無事にリニューアルオープンを迎え、現在は開館から数えて720万人のお客様にご来館いただいております。
当館にいらっしゃるお客様は、宮沢賢治が好きな方はもちろんですが、賢治のことを知らない方が殆どです。ですから色々な人に親しんでいただけるような場、これから賢治世界に接する上で良いきっかけとなる場を目指していくことが大切で、そのためには実際に使用していた愛用品や直筆の資料をみていただくことが一番良い方法であると思います。
しかし、それは簡単なようで難しい点でもあります。今後、宮沢賢治記念館が行わなければならないこと、これからの更なる30年間をどのように歩んでいくべきかをお話しできればと思います。
(宮沢賢治記念館 学芸員)※プロジェクターの使用有り。
(後半) 大塚 常樹(おおつかつねき)氏
宮澤賢治の言語戦略2-語りの戦略とオノマトペ戦略
2014年6月に発表した宮澤賢治の言語戦略1の続編で、今回は「語りの戦略」と「オノマトペ戦略」を考える。
「語り」とは情報のコントロール機能のことであり、それは物語内容を誰にいつどのように伝えるかであり、また読者をある目的地に連れ出すためにいかに効率よく誘導するか、という戦略である。賢治のテクストは基本的に宗教テクストであるから異化(日常的固定的な思考から別の新しい思考・思想に移動させること)を狙ったものであり、動植物が主人公の寓意的なテクストも多く、また非日常的な話題や存在も多く登場するから語りは重要な戦略である。物語内・外、介入度、信頼度、枠小説、焦点化、リアリティ(外延)などが持たらす効果や意義、そこから抽出される戦略を考察する。次に賢治に特徴的なオノマトペ、特に濁音を使ったオノマトペがもたらす効果と、その戦略を考えてみたい。
(お茶の水女子大学基幹研究院教授、専門は日本近現代詩、文学理論。著書に『宮沢賢治 心象の宇宙論』『宮沢賢治 心象の記号論』など。会員)[/box]