4月第286回例会のご案内

開催日 08.gif 平成28年4月2日(土) 開場 08.gif 17:30
会場 08.gif千駄ヶ谷区民会館 開会 08.gif 18:00 終了予定21:00
会場整理費 08.gif 500円

※ 今回から夜時間の開催です。
[box title=”発表者と演題” color=”#a9a9a9″](前半)08.gif  岡村 民夫(おかむらたみお)氏
 「ポラーノの広場」論――それはどこにあるのか

 イーハトーブは岩手であって岩手ではない。「ポラーノの広場」は、イーハトーブの非自己同一性ないし未完性を主題とした少年小説である
 発表の前半では、競馬場や植物園などをめぐってモリーオ市郊外と、盛岡ないし花巻の郊外の微妙な異同関係を論じる。宮沢賢治は、郊外が目覚ましく開発された時代(盛岡高等農林学校の設立がその端緒である)を生きたのだ。ポラーノの広場とは、そうした郊外に、都市と田園を媒介する「広場」として夢見られたといえるだろう。
 後半は、作品構造の考察に踏み込む。「ポラーノの広場」においては、廃止になった施設の再活用という主題が反復されており、そこには、夢や伝説が現実の場所によって否定されたうえで、現実の場所を再創造する力として回帰するという、弁証法的展開が認められる。この作品世界内における展開は、「ポラーノの広場」が「ポランの広場」の改作であるという生成論的事実とひそかに呼応してもいる。白紙上に打ち立てられた自己完結的ユートピアではないという側面にこそ、イーハトーブのユニークさと未来性があるのではないだろうか。
(法政大学教授。場所論。著書に『イーハトーブ温泉学』『柳田国男のスイス』など。会員)
※プロジェクターの使用有り。


※ 年度当初のため、総会(時間にして概ね30分の予定)が入ります。


(後半)08.gif  加藤 碵一(かとうひろかず)氏
 宮澤賢治の地的連想法

 賢治作品に数多く登場する「地学用語」や「地名」には、そのもとになったのが何か、あるいは連想の過程が判然としないものが頻出する。「用語が難解で賢治が理解できないという声が依然として多い。賢治は一般用語を用いないで、学術語で表現したのは、それなりの意図と必然性があったのだから、用語面での正確で詳しい解説が必要となるだろう」(田口,1991)とか「分らない言葉、それも賢治を特徴づけている最も重要な言葉をそのままにしておいて、いきなり本質を模索するといういささか定石を無視した研究をせざるを得ない現状」(板谷,1979)が、すでに指摘されているところである。
 例えば、「北上山地」を「シュワリク山彙」に「早池峰山」を「スノードン山」「カイラス山」に、「岩手山」を「ポポカテペトル火山」に擬しているのはなぜであろうか。「イギリス海岸」と称したのはなぜであろうか。いずれも単に賢治の造語であるとか賢治独自の修辞であるとして思考停止せずに可能な限り追いかけてみることにする。
 (産業技術総合研究所名誉リサーチャー。会員)
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Posted by 外山正

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